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№179 指話

オペラ通りの銀行で列をつくっていると、一番前の日本人女性がフランス人の銀行員となにやらやりとりをしているのですが、会話の内容が全く聞き取れません。気になるのでちょっとのぞきに行って見ると、二人の間に電子辞書があり、かわりばんこで単語をたたきあって相手に見せています。おそらく“振込み”“口座番号”“サイン”とかやっているのでしょうが、このシステムをブティックとかレストラン仕様に簡略化したものをつくれば儲かるかなあと思いました。

ところで私が用事を終えて銀行から出てみるとさっきの女性がケータイを叩いて誰かにメッセージを入れています。この人は1日中何かを指で叩きながら他人とのコミュニケーションをとっているのでしょうか。話しコトバでも書きコトバでもない“タタキコトバ”のおかげで授業中生徒が静かになっていいですよ、とある大学の先生がいっていました。が、近い将来にはカラオケボックスなどでも声を出して歌わずに何かを叩くようになるのでしょうか……

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№178 年齢不問

こんなおばあちゃんでも大丈夫でしょうかと、心細そうに私の学校を尋ねて来られる年配の方が結構いらっしゃいますが、入学してしまうと皆さんバリバリ元気で、何かヤングの方が負けているような気がします。

この現象は英会話学校などではあまりないことなのですが、実はフランス語というのはお年寄り向きにできているんです。これはどういうことかといいますと、フランス語は柔軟なノーミソよりも石のようにガンコな厳密さの方が必要とされる言語だからです。いわばフランス語は、“囲碁”のようなもので、“定石”を徹底的に覚え、型の中にはめ込んでゆくゲームと同じで“我慢強い”者が必ず勝ちます。しかも全ての習い事の中で外国語学習というのは、最も脳の老化防止に役立つもののひとつです(暗算なども非常によいようです)。 “とか何とか言うけどホンマかのー”という疑い深さがもう老化の始まりです。

でも“無限の疑い深さ”こそ、フランスのデカルト哲学の出発点であったことも何かのご縁ですので、ぜひ私達とフランス語をやってみましょうよ。

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№177 ハマッチ

少数の日本人女性が私のことを“ハマッチ”と呼びますが、これはどうも“タマゴッチ”の流行以来の現象だと思います。“タマゴッチ”は一応フランスにも上陸したのですが、あまり話題になりませんでした。“プリクラ”もスーパーやゲーセンでしばらく見かけましたがすぐに消えてしまいました。どうもフランスでは“かわゆい系”はあまりはやらないようです。(ただし、一部の“ジャポンオタク”はサンリオの筆箱とか持っています。)

それにしても日本の(特に女性の)“かわゆい好き”及び“ブリッコ志向”は聖子ちゃん以後どんどんひどくなっているような気がします。うさぎさんのリュックサックのお嬢さんや、ミニスカートのおばあさんはパリを歩いてはいけないとは言いませんが、あんまりフランスでは“うけない”ということだけは知っていて欲しいと思います。 “ボンジュール”といいながら首をかしげる必要は全くありませんし、カフェのギャルソンに写真を撮ってもらう度にVサインをすることもありません。さよなら(オルヴァール)に手のひらをいっぱい広げて胸の前で小さくふる動作もパリではかなり違和感があります。彼女達の幼児化願望は老化に対する恐怖心なのでしょうか?それともただのアホなんでしょうか?

ご意見等お待ちしています。j.com@free.fr

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№176 人口問題 

地球の人口が66億人になったそうです、おめでとう。

私が生まれた1950年代は25億人くらいだったそうで、まあよく頑張ったものです。(ちなみに1850年には12億人でした。)しかも、中国とインドだけで25億人なんてもうカレーチャーハン食べ比べ競争みたいな“ハルマゲドン(春巻丼)=最終戦争”が始まりそうな気配です。その頃には“日本人”は、幻の少数民族とか呼ばれて捕獲されるかもしれませんが、私は今のところあまり気にしていません。それよりも人口問題に関して、私は大きな疑問を持っているので一緒に考えて下さい。

私(あるいはあなた)が生まれる為には、お父さんとお母さんの少なくとも2人の人間が必要ですよね。その2人が生まれる為には4人の人間がいたんですよね。そうすると倍々ゲームで遡っていくと1000年前位には現在の地球の人口より多くの人がいたことになっちゃうんです…… もちろん母親と父親が“共通の”両親から生まれたりというケースもいっぱいあったでしょうが少なくともひとりの人間を生むのには2人の人間が必要だという限り前世代の方が人数が少ないということはあり得ないんじゃないでしょうか?私はもうずっと悩み続けています。

お便りお待ちしております。かしこ。

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№175 団体行動

4名以上のフランス人さんと“日本メシ”を食べに行くことを私は極力避けるようにしています。実際には1名以下でも避けていますが最悪は“大勢のフランス人”です。まず絶対に時間通り来ないので、ひとり来るたびに立ち上がりイントロの挨拶が参加者の数だけリピートされます。全員揃っても食べ物や飲み物のオーダーがバラバラで、“これ何や”という質問がアラレのように降ってきます。食べ物が出てきたら他人の食ってるものを見て“あれ何や”と私に聞いてきます。さっきの私の説明は聞いてなかったのですか?刺身にトンカツソースをかけようとするカトリーヌ、茶碗蒸しをお皿に出してるフランソワ、ワーッと言いながら私はもう立ち上がって指示しなくてはなりません。フィナーレのお会計もメチャややこしいし、さあ解散と決まってから、30分位しゃべってるし……私はやっとひとりになると他店に行ってソバなど食べて帰ります。

フランス人は“原始人”というか“自然人”で私達日本人は実は“人造人間”なのかもしれません。親や先生や友達によって、あるいは本とかドラマとかの影響によって、私達の行動パターンも話題も完全に制御されています。オーダーはなるべく他の人と同じもの、食べ方もスピードも他人に合わせて会計も少々不満はあっても均等配分で……これも疲れるがあれも疲れる。飯はひとりで食うもんだなとよく思います。

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