№185 うまさの秘密
美食の国フランスでは、時々まずい物に出会うことがあります。客が少ないレストランやフランス人の家で“何じゃこれ”というものを出されることがあるのです。日本では、海水浴場のヤキソバでも、おばあちゃんが作っているミックスサンドでも“ベリマズ”というのはかなり珍しくなってきたと思います。でもこれは、日本人の料理テクが向上したからとか、消費者のグルメ度が上がったからというよりは、味の素やだしの素が何にでも入っていて(ソース類とか味噌とかが)日本人の“うまみ感覚”を完全に征服してしまったからです。
本来、料理というものは食材の“うまみ”を引き出すことだったと思うのですが、今の日本では“うまみのない”食材の上に“うまみの固まり”みたいなものを足し加えることが“調味”だという風になってしまったので、何を食べてもまあまあ“うまく”感じてしまうのでしょう。
パリのカフェで1000円近く払ってまずいサンドイッチを食べる度に“ああ、まだまだフランスも頑張っているんだなあ”と、喜びと怒りを半分ずつかみしめる“私”がいるのでした……
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