№218 エッフェル塔

パリのおみやげ、トップはいまだにブリキ製の“エッフェル塔”なんですって。(日本でも東京タワーや大仏さんは不滅でしょうけど・・・)それから世界で一番絵葉書が売れているのも“エッフェル塔”なんですって。でもこの塔が、フランス革命100周年にあたる1889年の万博の為に建てられた時はメチャクチャ評判が悪く、小説家のモーパッサンなんかは“パリでこの酷い塔が見えないのはここだけじゃ”といって、毎日エッフェル塔の二階のレストランに食事に来ていたという話も(多分ウソ)残っているぐらいです。結局“20年間だけ”使ってその後は解体するということに決定しオープンしたところ大人気。エッフェルさんは大儲けして91才まで長生きしました。ところでこのエッフェルさん、フランスがアメリカに独立100周年の記念としてプレゼントした“自由の女神”の鉄骨や、世界初のデパートといわれる“ボンマルシェ”なんかも作ってるんですが、身長は152cmで、小さい頃から(てゆうかずっと小さかったんですが)いつも“大きいもの”に憧れていたんですって。

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№217 城塞都市

1970年代の私のガールフレンド(で、今の奥さん)は“ブルターニュ”地方の出身で、彼女のパパの別荘の近くにゲランドという町があります。この町は“塩”で有名で、“ゲランドの塩”は最近(特に日本で)メチャ高く売られていますが、昔はほんとにタダみたいなものでした。ところでこのゲランドは、街全体が城壁に囲まれた中世都市としても有名で多くの観光客が訪れます。南仏にあるカルカッソンヌという街も、昔の壁と街並みがきれいに保存されていますが、実はパリもリヨンもマルセイユも、フランスの全ての都市は昔は壁に囲まれていたのです。てゆうか、ドイツでもイギリスでもトルコでも中国でも、世界中のほとんどの都市は壁で包囲されているものだったのです。“都市”なのに壁で守られていなかったのは日本ぐらいのもので非常に稀な例なのです。日本の“いくさ”はサムライが“城”(と、お殿様の首)のとりっこをしているだけで一般人にはほとんど影響がないという実に平和なものでした。だから今でも市長とか首相とか誰になってもちーっとも関係ないやってみんな思っちゃうんですよね。

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№216 音読(オトヨミ)

外人さんが日本語を学ぶ時の最大の難関は、漢字を正しく“読む”ことだと思います。書く方は筆順とかおくりがなを覚えればいいし、ワープロなら変換ボタンを押してそれっぽいのを選べばいいのですが、読むのは音読み(各種)と訓読み(各種)の順列・組み合わせの総当たり戦で、もうほぼ“当て物”の世界です。“人間”だって“ジンカン”“ヒトケン”“ニンマ”は全部ハズレと言われると両肩をすくめて“ホワーイ?”っていいたくなりますよね。“明日”も“ミョーニチ”“アス”“アシタ”はセーフ、“メイジツ”“ミンビ”はアウトとか言われても何か納得(ノートク?)できません。その点フランス語はある程度の規則を習ってアルファベットをそのまま読めばほぼ全問正解になっちゃうんだから6才位でおよそ何でも読めちゃうってゆう、かなり“脳天気”な言語だといえるでしょう。

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№215 しびん

先日軽く入院して来ましたので、2、3病院ネタでもやらしてもらわないと割が合いません。ということでともかく入院した翌日、“おしっこ シルヴプレ”と看護婦さんに言うと“あなたはトイレに行けません。ピストルはいりますか?”と聞いてきます。いや、それほど深刻な悩みじゃないんですが・・・。と断ろうとするとプラスチックの“しびん”を持ってきて私の股間をまさぐるではありませんか。ところが私、その“ピストル”にどお頑張ってもおしっこをちびることができませんでした。そうしたら看護婦さんが“ソンドする?”と私に尋ねます。“Sonder”というのは“調べる”という単語なので“OK”と言いますと、彼女は即座に仲間を呼んで何やら準備しに行って戻って来ました。1人はまん中に穴の開いたビニールシート、もう1人はビニールの管とプラスチック容器を手に持っています。えっ?これってひよっとして・・・まさかだよね!と思った時にはもう手遅れ。シートの穴から元気なくつまみ出された私の“プライド”に3人の金髪娘が20cm位の管をつっこもうとしています。“いたっ”“いたっ”と言うと娘の1人が“ちょっと小さいかな”とつぶやきました。私は“何がやー”と心で叫び、ますます“ショーチン”し不覚の涙を流してしまいました。フランス語で“ソンド(Sonde)”というのは“注入管”という意味で女性名詞でした。

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№214 ヴィオロン

秋の日のヴィオロンの/ためいきの身にしみて/ひたぶるにうら悲し・・・

これはフランスのヴェルレーヌという詩人が書いた“落葉”という詩を、上田 敏(びん)という人が明治時代に訳したものですが、何かやたらかっこいいですよね。特に“バイオリン”じゃなくて“ヴィオロン”つーところが“焼メシ”のことを“チャーハン”と言うのと同じぐらいプロっぽいですよね。ところで上田名人がこの詩を訳していた頃(明治30年代)名古屋の鈴木さんという三味線屋さんは、“ういろう”を食べながら一生懸命、日本製のバイオリンを作ろうと頑張っていました。そして完成品を1900年のパリ万博に出品し国際的評価を得、“鈴木ビャーオリン”の名を世界に知らしめました。さらに彼の息子は“鈴木メソッド”というバイオリン学習法を開発し、これは今でも高い評価を受けています。昔の日本人てまじすごかったよーな気がしますね。

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№213 指示記号

“ヤフー”や“グーグル”で何かの検索とかしているといつの間にか知らない人のブログなどに入ってしまいとんでもなく遠いところに行ってしまうことがよくあります。今日もそんな怖い目にあったのですが、文字化けなのかわざとなのか(でもどのキーをたたくとこんな文字が出てくるんだろう?)まるでナメック星人からのメッセージみたいな文章が5ページ位続いていました・・・。その次のは明らかに日本語だったのですが、基本構文がギャル語でおまけにやたら三角や星印が多く、ニコニコマークにもいろんなバージョンを取り揃えていてまるで“おかげ様で10周年”みたいににぎやかなものでした。それにしてもこれらのマークなどは丁度、楽譜につけるアンダンテ(歩くように)とかフェルマータ(音を延ばす)とかクレッシェンド(だんだん強く)みたいなもので感情とかテンポとかを指示しているのでしょうが、その内“息継ぎ(ブレス)”まで指示されちゃうかも知れませんね(笑)

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№212 嫌われ者

世界中のホテルマネージャーによるアンケートで2年連続“最も良い客”は日本人という結果がでました。マナーも良く、あまり苦情も言わず、金払いはいいとなりゃそりゃもう極上の“カモ”というわけなんでしょうが、それにしてもこれは良い事だと思います。ところが我が第二の祖国“おフランス”は中国に次いでビリから二番目の“地球上で最も悪い客”にランクされています。ま、中国人は中華しか食わないし、一部の人を除いてあんまりお金持ってないし、アイソ悪いから分かるけどフランス人がここまで嫌われているのはほんのちょっとだけかわいそうな気がします。しかしホテル側は、フランス語しかしゃべれないくせに何かと文句や要求が多く、しかもめちゃケチでバーの灰皿とか持って帰るフランス人なんか、来てくれなくてもいいよーだと言っているのでしょう。まぁ確かにそうかも知れないけどフランス人にもいい所はあるんだけどな。もうちょっとうまくやれよな。でも俺は好きだよ、世界中の嫌われ者でも。

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№211 相思相愛

先日テレビで見たんですけど、フランスで英語の次に訳されているのは日本語なんですって。確かに吉本ばななも村上春樹もデスノートも何でも訳されています。で、思うのですがひょっとしたら日本で英語の次に訳されている外国語はフランス語じゃないでしょうか。ドイツ映画とか中国文学とかそんなに日本で聞かないし韓国もドラマだけですよね。でももしそうだとしたら日本とフランスって“相思相愛”じゃないですか!(何か懐かしい響きだなぁ…胸がキュッとするなぁ…漢字で見るの初めてだなぁ…)そうか日本とフランスってできてたのか。人前ではよそよそしく距離をおいてるみたいに見せてたけど、隠れてコソコソとやってたんだな、ずっと・・・。2008年は日仏友好150周年ということで日本でもフランスでも各種のイベントが開かれています。そして日仏カップルもどんどん増えているようですがほとんど女性が日本人、男性はフランス人です。(日本人男性は日本でもフランスでもあまりもてないのは何故なんでしょうか?)

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№210 切れた男

“彼は切れる”というと私が内地にいた頃はほめ言葉だったのに、いつの間にか“彼はプッツンする”というおののき表現になってしまいました。フランス語でも誰かが切れると“Péter les plombs(ぺテ レ プロン)”-ヒューズが切れたと表現しますが“彼は切れる”という風に常態を形容する言葉はありません。

 しかしまぁカトー青年、やってくれちゃって。フランスのニュースでも結構大きくとりあげられ、私共在仏日本人はまたしばらく小人さんのように小さくなって森で暮らさなければなりません。“ジャポネが職場で自分のユニホームがないので急に切れてホコ天にトラックでつっこんだ後ナイフでグサグサ通行人を刺し17人が死傷・・・・”何、これ?日本の恥ですよ、全く・・・・。もう絶対オリンピックは東京に呼べないですよ、石原さん。

 しかもアキバのオタクってナイフとかスプレーとか持ってるくせに誰も止めようとしないのな。ケータイで写真撮ったり友達にメールで知らせたりするだけなのな。フランス人とかアラブ人、おそらく韓国人とかでも数十人でいっせいにカバンとか投げて何とかしようとするんじゃないかな?ホント、現場にいた人達、何の為にウイーで体をきたえたり、毎朝生姜紅茶を飲んだりしているんでしょう。ちなみに私は君子(きみこじゃないよ)ですからデンジャーにはドント アプローチです。

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№209 らしさ

入院生活も三ヶ月になりますと(入院してたんですしばらく)すっかり板に付いてきまして、ま、言ってみれば“中間管理職”てな感じです。これは私が病院暮しのリズムを完全に覚えたということだけでなく“病人らしさ”をしっかり身につけたということだと思います。この“らしさ”というのは言わく言いがたいもので、何となくこの人はプロの病人だな、と感じさせる“オーラ”のようなものをあちこちから出せるようになるんです。たとえばヤーさん、芸能人、政治家などは職業ごとの“らしさ”をそれぞれ持っていますが、共通して一般の方(カタギの人)と異なるのは目つき(眼光)姿勢(ものごし)、そして口元(のしまりぐあい)などです。発声法も違います。ところでフランス生まれフランス育ちの日本人は、別にハーフじゃなくても何となくフランス人ぽいように思えます。語学力や身振りの問題だけではおそらくないようで、大人になってからフランスに来た人は何十年フランスに住んでいてもバリバリ日本人丸出しです。しかし別に皆さんが“フランス人らしく”なる必要は全く無いと思いますが“フランス語”の方はぜひ“フランス語らしく”して欲しいと思います。でもこの“らしさ”ってゆうのは教えてあげられないんですよねー。

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№208 ボイン好き

“おはよー”とか、“じゃあね”って“おあおー”とか“いやあえ”でも通じる じゃないですか(歯が痛い時とか)でも“ボンジュール”や“アビヤントー(またね)”は“オンウー”とか“アイヤンオー”じゃ通じなくてどっちかって言うと“ブージュー”とか“ビヤットゥー”の方がまだましな様な気がします。要するに日本語は母音(あいうえお)が主役で、フランス語は子音 (“クッ”とか“グッ”とか)がえばっている言葉だなという事にしませんか、という私のささやかな提案です。そして母音は自然な音で丸く、子音はとんがっていてかしこそうですが、やさしさとすなおさでは母音に明らかに負けています。しかもこういう事って民族のキャラとか文化に結構出ちゃうんですよね。日本は“あいうえお”文化で外国は“カキクケコ”文化なんです。それにしてもこうして“ひらがな”と“カタカナ”をはっきり使い分ける日本人てゆうのは、根っから排他的な人々で、永久に外人さん達と混じりきる事はないような気がします。ちなみに日本語には二重子音(子音が2ヶ続くこと)がありませんが、フランス語には二重母音がありません。

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№207 発酵期間

2ヶ月日本に帰ってたらフランス語を完全に忘れました”と不安そうに私に言った和也君。“私なんか5日間ロンドンに行っただけでフランス語の発音が変になったわよ”とあたかも自分の方がエライかのように語るハルカちゃん。まぁどっちにしてもそんなもんで忘れたり変形したりするヤワなフランス語は、はじめからないようなものってゆうか“マボロシ”だったんだよね。全く定着してなかったのよ、君たちの心にも脳みそにも。ま、しかしそういう事態は実は決して悪くないんですよ、言葉の習得には。なぜなら、ことばというものは忘れたりくずしたり(くずされたり)して発酵期間をおくたびに、やさしくふくらんでゆくものだからです。覚えたての単語は蒸し方の足りないたきたてごはんです。青くてかたいバナナです。今日習った“お金があったら車を買うのになあ”という条件法の例文は、ワインになる前のぶどうジュースみたいなもので、そのまんまじゃあんまりうまくないんです。“それなら電話ぐらいくれたらよかったのに”と口をとんがらせて心からこの文を言いたい時に、初めて条件法を習ったことのありがたみとニュアンスが身につくんですよね。

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№206 フランスベッド

“フランス ベッド”ってありますよね。でもこれって日本のメーカーの会社名で、別にルイ ヴィトンみたいな模様があちこちについているとか、ビロードのカーテンや金ぴかの屋根がついている、フランス特産ベッドが存在するわけではありません。ま、“フランス”と言っておけばとりあえず“ハイカラ”な感じがするんじゃないかなという安易なネーミングだろうなと思いましたが、念の為ネットで調べてみると、実は創業者が“仏様のように安らかに眠れるベッド”“仏様ベッド”

みたいな社名にしたかったのだけれど、当時(明治初期)は政府による仏教イジメの時代だったので仕方なく“仏蘭西ベッド”にしたらしいというブログを見つけました。ところでベッドって日本語で言うと“寝床(ねどこ)”ですど、“床

(とこ)”って“ゆか”ですよね。てゆうことは日本家屋は全面ベッドで我々日本人は一日中万年床でグータラしている民族ということになっちゃうんですかね・・・・・

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№205 目には目を

ある日メトロで、私の前に二人の(おそらく)アフリカ人の男達がすわりました。彼らのお肌はやさしいチョコレート色じゃなく、まじまーっ黒な筋金入りの黒人さんです。その二人が何やらしゃべり始めたのですが、バビブベボばっかりで内容はちっともわかりません。でもそれはいいんです。すっごく気になったのは、右の男は右を向き、左の男は左を向いてずっと会話をしていることでした。別にけんかをしている風でもなく、時々あいづちのようなバビブベボ音を出したり、異常に白い歯を見せて笑ったりしています。どうもこの人達の部族では、顔を見合って話をしないんじゃないかと想像したりしました。まぁ我々日本人もあまりしっかりと目線を合わせて話しませんし、ちらっと見ただけでも“ガンをつけた”とか“メンチを切った”とか言って、角刈りの小学生やアロハのお兄さんにインネンをつけられてしまうこともあります。でもフランス人と話をする時は、できるだけ相手の目を見て話をするようにしましょうね。(特に乾杯の時と握手の時)

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№204 パスカル

パリの学生街“カルチエ・ラタン(ラテン語地区)”にサンジャック通りというのがありますが、この通りが中世のパリのメインストリートだったようです。この通りの延長上、セーヌ河を渡った北側に“サン ジャックの塔”というのが立っています。この塔はスペインのサンチャゴ・コンポステラへの巡礼の旅の出発点で、この巡礼に参加する人達は皆、ほたて貝のマーク付のティーシャツを着ていたので今でもフランス語でほたて貝のことを“コキーユ サンジャック”と言います。ところで、この塔はもうひとつパスカルという人が気圧の実験(パスカルの原理)をしたことでも有名です。このパスカルさん、小さい頃から数学や物理で天才的な能力を発揮したのですが、勉強のしすぎで頭がおかしくなり35才のときに修道院にひきこもってしまいます。でも、修道院に入るともっと変になり、神様はいるかいないかということをムキになって考えた結果、ギャンブルに必ず勝つ方法(確率論)というのを発表したりしています。そして“人間は考える葦(あし)である”とか

“クレオパトラの鼻がもう少し低かったら歴史は変わっていただろう”

とか、何やらわけのわからないことをいっぱいならべた“パンセ”という本を残して39才で死んじゃいました。

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№203 スケッチ

フランスにも“漫談”というか“ひとりコント”みたいな芸があって、それを“スケッチ”といい、フランス人は大好きです。この芸で“ひとりボケ”をやる人もいますが、巨匠たちはたいてい“ツッコミ系”で超辛口社会風刺と政治批判(と下ネタ)を中心に、歌や踊り(体芸)を交えてたった一人で1時間以上演じ続けます。

彼らの“話し”の内容は駄じゃれや隠喩などが非常に高度で、フランスの文化や歴史、そして世界情勢などの時事ネタをふまえていないと、ほとんど分からないし笑えません。私自身、平均的フランス人の半分ぐらいしか理解できないと思うのですが、彼らの“話術”の素晴らしさに感動する(というかあきれかえる)ことがよくあります。その“うまさ”の要素の中で最も際立ったものが、“間”の取り方です。これは日本語でもフランス語でも、そして芸じゃない“普通の会話”でも、“話のうまさ”とは“間の取り方”だと言い切ることさえできるのではないかと思っています。 “間”というのは自分と相手との“間”でもあるし、相手の心の中の“すき間(ツボ)”でもあるのです。そこに“スポッ”と入るタイミングを学ぶのが“会話の練習”ということですね。

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№202 エロ本 

“エロ本”というのは“色本”ですが、“カラーブック”と外人さんに言っても通じません。“色”は“イロ”ですが、エッチ関係の場合は“エロ”と読むんだなと思った人は、語学のセンスはあるが知識に欠ける人です。

“エロ”は“エロチック”のエロで“エロス”は愛の神です。ま、そうはいうものの、私はいまだにフランス人の好む“色調”になじめないのです。(もう“エロ”の話ではありません)空港やTGVのイス、ホテルの内装で“ぶどう色”や“しゃけ(サーモン)色”多いんですよね。何でわざわざこの色、そしてこの組み合わせを選ぶんだろうと、首をかしげすぎて寝違えたこともあります。しかしそうはいっても、30年以上この気持ち悪い色合いの中で生きていると、“なれ”と“あきらめ”のような感情が育まれてしまったらしく、ドイツとか行くと“ダサー”と思うし、祖国日本も何か“安易”というか“軽薄”というか、私の心の中にある“利休カラー”みたいな色合いじゃないんですよね。ただ、日本でもフランスでも“自然”な“風景”はさすがにいい色を出しておりまして、やっぱ神様はすごいなと思うのであります。

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№201 いろは歌 

“いろはにほへと……”って最後まで言えますか? しかも“色は匂えど散りぬるを、我が世誰そ常ならむ……”というシブい“意味”(というか、ダジャレのココロ)を知らされると“ガーン”と感動してしまい、“好きです、ニッポン”てなTシャツでも着て街を歩きたいような気分になりますよね。

このいろは歌は、日本語のかな文字(の音)を各1回だけ使って、内容的に意味を持ち、しかも七五調でまとめることに見事に成功しています。でもこの他にも例えば数字とか“元素記号”を覚えるのに“水兵リーベ僕の船……”水素、ヘリウム、……あれ、リーベって何だっけ? とか、まあそんな感じだし、山田ちゃんの電話番号はヤーサンコワイナ(835817)みたいに何にでも活用できてとても便利です。

それにしてもこういう言葉遊びとかダジャレは(もちろん西洋にもありますが)、日本語において、とても大きな顔をしているような気がしてなりません。フランス語とかでは“イミ”と“オト”が、コトバの“ウラ”と“オモテ”のようになっている感じですが、日本語は“オト”を真ん中にはさんで、両側に“イミ”があるような使い方がかなり多いのではないでしょうか。

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№201 有名人 

今の日本の総理大臣の名前をフルネームで言えるフランス人は、ほとんどいないと思います。日本の著名人の名前を5人以上挙げられる人もすっごく少ないと思います。おそらく“タケシ”、“クロサワ”、“ミシマ”、“ヒロヒト”ぐらいで行き詰まり、あとは“ナウシカ?”、“ラピュタ?”と、とんでもないことを言い始めます。それに比べるとおフランスは、アランドロンとか、カトリーヌドヌーブとか、セザンヌとかデカルトとか何とか、なんかスターぎっしりで、まるで“ジャニーズ事務所”です。

これはどう考えても許せない。人権問題だ、異常気象だと私は声を大にして言いたいけど、今日はがまんします。でもホント、何なのこれって深く考え込んで、昨日は9時頃寝てしまいまいした。しかもこの件に関しては、オリンピックでアメリカが断トツでメダルをとっても“白い奴いないじゃん”と、負け惜しみを言えるような逃げ道さえつくられていないんです。うーん、ずるい、ずるすぎる。

もう、こうなったら皆さんが頑張るしかないっすよね!

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№200 ガーリックライス

チャーハン(のようなもの)を作る時は強火でイッキにご飯を炒めるものだとずっと思っていましたが、パリの超高級鉄板懐石“あい田”で、会田さんからガーリックライスは弱火で15分位手を休めず炒め続けるのがコツですよ、と教えられました。なるほど、言われた通りごはんをトコトン炒めてみると、なんかメチャうまになりました。そして私はまたしても小悟(小さく悟る)してしまいました。

料理には、食材に対して“ごめんね、いい味出してね”と、ちやほやしあまり手を加えないか、食材の方がギブアップしていい味を全部出してしまうまでいじめ続けるか、の2ツのメソッドがあるんではないかと。で、“コトバ”というものも“こんちは”とか“今日はきれいだね”みたいに、コトバだけのパワーに頼りきって外部との関係を保つ場合と、自分自身の頭の中で思考をするために(味が出てくるまで)ゆっくり使うコトバと、2種類あるんじゃないかなと思いました。てなわけで、チャーハンも馬鹿にできないな、でも“コトバ”の話とのつながりがよく見えないな、と、考えるきっかけを私は皆さんにあげたんだぞ、というありがたいお話でした。

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№199 結婚式 

教会での結婚式は2時に始まるよと招待状に書いてあると、たいてい始まるのは2時半です。新郎新婦の友人達が音楽を演奏し、歌のリードと指揮をする人が舞台(?)にいます。2、3曲歌ったあと、司会のお坊さんが、今日は「ダミアンとオードの結婚式だよ」と言って少しありがたい話をします。ちょっとくどいな、と皆が感じるころを見計らってまた歌を歌わされます。これが何回か繰り返され、おまけに立ったり座ったりするので、居眠りすることもできません。そしてクライマックスは指輪のはめっこで、“一生あなたのものよ”と人前で恥もなく一応言ったりします。そしてお坊さんも人前でワインを飲み干し、鹿せんべいみたいなものを希望者に食べさせます。この間にカゴがまわってくるので、“お賽銭”を入れたり、入れるフリをしたりします。最後の方も“お話し”と音楽、歌がくり返され約2時間後に解放されるのですが、教会の前で挨拶と立ち話が約1時間続きます。

パーティ会場に移動し、シャンパンなど飲みながら2時間ほど歓談してクタクタになった頃、食事が始まります。食事中、スピーチや歌、スライドやビデオの映写があり、その後ダンスタイムとなりお開きは朝の4時頃です。(翌日のお昼には、残り物を食べるためのパーティが開かれ、夜は家族、身内でさらに残った“究極の残り物”を食べることになります。)

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№197 真実の日本

日本の映画やドラマ、マンガ、アニメなどを見ると何か“隠し事”が多いなあと感じることが良くあります。コメディー系は問題がないのですがシリアス系の場合、登場人物は絶対“チクワ”とか食べないじゃないですか。ゴルゴ13はほとんど“畳の間”でくつろがないし、恋する二人の背景に“本日黒豚デー”とかの宣伝が見えることもありません。(ゴルゴはサロンパスも貼りません)。

どうやら“シリアス”と“真実の日本”は相性が悪いようです。その点おフランス、特にパリは、すっごくずるいと思うんですが、全部“そのまま”でいけちゃうじゃないですか。ハムしか入っていないサンドイッチも、ゴミがあふれている公衆ゴミ袋も……それにそもそも“人間”そのものがほぼ誰でも“シリアス系”の映像に映ってしまっても許されるような風貌をしています。日本では“あっそこの彼女、向こうむいてて”みたいな人が多すぎて監督さんも大変です。だから結局、時代劇か、ホラー、SF、そしてアニメに逃げちゃうんですよね、皆さん。

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№198 マイキョ

“マイキョ”って知ってます? 何? 食べるもの? えっ“枚挙”のこと?

そうだよね、“枚挙”ぐらいしか思いつかないですよね。で、枚挙って何って言われたら教養ある皆さんは“枚挙にいとまがない”っていう時に使うとか何とか答え始めますよね。ま、それで私はいいんですけど、こういうタイプの単語も熟語もあんまり国語辞典で“意味”を調べたりしないじゃないですか。なのに経験的に“数えられないぐらい沢山”とか“いちいち言ってられないぐらい多く”っていう“意味”も知っているし“使い方”もちゃんと知っています。

「昨日バーゲンで何買ったの?」「んー、枚挙にいとまがないわ」これ、変です。この人は翌日から友人に“マイキョン”と呼ばれます。ところで、フランス語などの外国語の単語や言い回しも辞書を引かずに獲得できるのなら本当はその方がいいんです。でもそれにはすっごく沢山の(枚挙にいとまがないくらいの)言語体験と試行錯誤が必要です。しかもせっかくそんな風にして身につけた貴重な語彙や表現も、結局は辞書で引いたりして、頭の中で整理しておかないと通訳や翻訳には使えません。日本語ではこう言う、フランス語ではこう言う、というルールを知らなければ“ちゃんと”訳せないからです。でも“ちゃんと訳せない”方が実は“正しい”んですよね……

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№196 ペラペラ

何十枚かの紙に絵を書いてペラペラとやると動いてるみたいに見えるやつって何ていうのかな? 映画もビデオも同じ原理なんだけど、あるコマと次のコマの間に実際にはスキ間があるのに、つながっているみたいに見えます。人間の履歴書も同じで、○○大学入学の下に“卒業”と書いてあると、その間時々しか授業に出てなくても誰も気にしないみたいなもんです。(何か全然説得力の無い“たとえ”ですね)。

“ことば”というのも、全部の単語を“はっきり”言うとけっこう変で、実際には“トビトビ”に音(声)を出したほうがなめらかに聞こえるんです。たとえばフランス語の否定文は動詞を“ヌ”と“パ”ではさむと習いますが、日常会話では“ヌ”は使わず“パ”しか聞こえてきません。でも理論的には存在するので、その“穴”は聞き手の脳がちゃんと“穴埋め”しているのです。ただし“ペラペラ漫画”も言語の“音とばし”も(そして授業サボりも)なめらかなリズムとスピード感が無いと成功しませんので、念の為。

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№195 スロー学習

ファーストフードの王様はマクドナルド大王ですが、フランスのマックはサービスが遅く、ほぼ“スローフード”です。(しかも笑顔は有料です)。

ま、そんなわけで世の中は“スロー”がブームのようですが、語学学習者さん達は皆“せっかち”です。入学して2週間目ぐらいで“ちっともしゃべれるようになりません”と相談に来たりします。確かに、学校案内には“4ヶ月コースで基礎を固める”とか書いてますし、“半年もしたら日常会話には困りませんよ”とか、説明会で誰かが言ったかもしれませんが、あれはウソでした、ゴメンネ。

でも本当は別に無責任でこう言うのではなく、“学習”の最大の敵は“あせり”(ストレス)だからなのです。ファースト学習は消化が悪く太るだけです。胃と脳に優しいうす味の学習をゆっくり楽しんで進めるほうが、結果は明らかに良いのです。スロー学習のコツは、学んだことの“形”が消えるまで簡単なことを何度も繰り返すことです。そして休憩のたびに“ルンルン”と声に出して言って下さい。(このおまじないでストレスは本当に消えます。)

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№194 うざい人達

非関西人(健常者)は、吉本の芸人の関西弁を聞いて“よくわからない”ことがあると思います。しかし関西弁以外の方言でも、他の地方の人には“わからない”ことがよくあると思います。そして標準語でも法律用語や医学用語など、ちゃんとした日本語なのに“聞き取れない”し“意味もわからない”場合ってけっこうありますよね。

これが誰かと会話している時なら相手に聞き返せばいいのですが、ドラマや映画のせりふだと“えっ今何て言ったのかな”と思っても話はそのままどんどん進んでいきます。でもほとんどの人は“まっいいか”と思います。そういう状況には小さい頃から“慣れっこ”だからです。しかもこのことは話し言葉だけじゃなく、新聞や書物で人の名前や地名などの漢字が読めなくても“まっいいか”と、日本人は思ってしまうのです。読めなくても、分からなくても、聞き取れなくても、言葉なんかわりとどうでもいいと思いながら日本人は生きているような気もします。でもフランス人はけっこうそうじゃなくて、かなりしつこく、はっきり分かりたがる人たちです。で、その性格や態度が“うざいな”と感じることが時々あります。

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№193 明太子スパゲティ

チョンマゲを切ったので朝食はパンにしよう、と考えるのはすっごく柔軟な態度で評価されるべきことかもしれませんが、“中にアンコ入れると美味しいよ”とか“ヤキソバもはさめるよ”とかいう日本人て、結局ガンコなんですよね。カレーにビーフ入れるなんてインド人もびっくりだし、スパゲティにメンタイコーなんてダヴィンチさんでも考えつかなかったと思います。(一説によると、モナリザさんは明太子スパゲティを出されて笑いながら困っている顔をしていると言われていますが)。

ま、ともかく日本人には“負けるが勝ち”というとんでもないスローガンがあるので絶対に負けることがないのです。なんでも貪欲に(そして素直そうに)受け入れるようなフリをして、最終的には国産(土着)加工してしまい、本家への感謝の気持ちをすぐ忘れてしまうおちゃめな国民です。もちろんフランスでもどこでも異文化の混入と同化ということは、歴史上絶えず起きている現象ですが、日本式の“混ぜ方”はちっとも徹底的でなく、外国のものと日本のもの、古くからあるものと新しく入ったものの痕跡をある程度残しながら重層的に変化させていくという、恐るべき技を持っています。

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№192 火事

フランスの消防士さんを彼氏にしたい方は、サンタンヌ通りにある“来々軒”の窓際の席でタンメンとギョーザのセットを頼んでみて下さい。100%ではありませんが、向かいの消防署の2階(ガラス張り)から若くたくましいお兄さんが手を振ってくれます。

彼らが年中ヒマそうなのは、パリには“大火事”がほとんどないからです。いわゆる“ボヤ”はあるのですが、建物が石造りなので隣や上下のアパートにまで燃え移ることは非常にマレです。日本も昔より火事は減ったようですが、燃える時はしっかり燃えますよね。特に江戸時代なんかもうメラメラで、しょっちゅう“大火”の記録が残されています。しかも当時の日本の消防は水で消すより家を壊して火の手を止める、というダイナミックな方法が主流だったので、何百年も使える家を建てようとは誰も思わなかったようです。火事だけじゃなくて、地震や津波や台風、そして空襲だ原爆だと、こんなに頻繁に全滅しちゃいますと、何事にも諦めがよく“まっいいか”という国民性が育まれるようですね。

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№191 歯並び

私は幼年時代はメチャ明るい子だったのですが、成長期のいくつかの“出来事”によってワット数が減少し、現在のような哀愁を漂わせる点滅キャラになってしまいました。

最初の“出来事”は、小学校に入ってすぐメガネをかけさせられたことです。2番目は中1の時、父親のお古のダブダブズボンをはいて塾に行ったらM子ちゃんに死ぬほど笑われた時です。そして3番目は中2の時、事故で前歯が3本折れたことです。これが決定的で、もう性格はまっ暗闇。修復の結果、何故か1本は金歯になっており、歯だけが明るく輝いていました。

それから10年後、フランスで歯医者に行くと“これかっこ悪いね”と言ってセラミックの白いのに変えてくれました。しかも“歯並び”も矯正しよう、とか言われて、半円形の2本の針金で歯を強くはさむ器具を装着されました。これはあまり効果はありませんでしたが、フランスの子供達は実に良くこの“針金ギプス”で歯並びを矯正されています。この“歯並び矯正”と“金歯ぎらい”こそ、フランスの街づくりの基本コンセプトなんだなあと、すき間なく、同じ色で、同じ高さに整備された美しい街並みを見るたびに、私は感心してしまいます。

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№190 1+1=2 

1+1=2 じゃなくて、2.1 位になるのがたとえばケンカの時なんかで、ひとりぼっちでボコボコにやられているA君のところにB君が来てくれると、A+B以上にプラスアルファーの“自信”が出てきちゃうってな感じです。これとは反対に0+0=-1というのもあって、貧しい人が集まればもっと貧しくなるみたいなやつで、いずれにしても算数とか数学っていうのは、現実の生活では必ずしも正しくはないかもしれません。(複雑系とかファジーとかゲシュタルトっていうんですよね、こんなの)。

それにしても我が祖国日本は、年中“ファジー祭り”みたいな国で“ギリ”とか“シガラミ”の間を“1+1=2”が時々すまなそうに通り抜けていくだけで、基本的には“1+1=5”とか“4-3=0”とか、もうムチャクチャの非ユークリッド世界です。ところでもうひとつの我が“疎国”おフランスではどうなのかというと、意外なことにこの国の基本は“1+1=2”なんです!レジの計算は遅いし、お釣りは間違えるし、3日後っていうと5日位かかるくせに、1+1=2になるべきだと思って生きているのです。

でも楽っすよ、1+1=2の生き方って!

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№189 MP3

パリのメトロに乗ると、ほとんどの若者の両耳からヒモが出ていて変です。日本では多くの人がケータイを見つめていますが、何かの宗教みたいでこれも変です。完璧に眠っている人も日本ではよく見かけますが、これも充分変です。(立ったまま眠っている人は実はゾンビです。)

メトロや電車の正しい乗り方は、きちんと背を伸ばして座るか立つかして、穏やかな目つきで車内や車外の風景を見るともなく見るという、基本的なマナーを彼らは知らないのでしょうか。お年寄りや身体の不自由な人やヤーさんが乗ってこないかと注意しながら、“物思いにふける”。これこそ正しい乗客の姿です。

ま、それはさておき、パリのメトロって駅の区間が短いのですぐ止まって落ち着かないんですよね。20分位乗っている間に、45歳で失業中のジェラールのラップのようなスピーチとか、とんでもなく音痴のおばさんの歌とか、床を這うようにしてすり寄ってくるクモ男とか、いろいろ出てくるので“物思い”のヒマなんかありません。やっぱり“耳からヒモ”が一番いいのかもしれませんね。

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№188 やっぱし

フランス語は遊びにたとえれば“パズル”とか“積み木”みたいな感じがするんですが、日本語は“あや取り”とか“あぶり出し”(って知ってる?)とか“福笑い”(って知ってる?)みたいな印象を私は持っています。ひと言で言えば、フランス語は“かたい”、日本語は“やわらかい”かな……

しかもこの日本語のやわらかさというのはハンパじゃなくて、たとえば“メチャクチャ”でも“ムチャクチャ”でも“メタメタ”でもなんでもOK、“はい”でも“うん”でも“ホイ”でも、“やはり”でも“やっぱり”でも“やっぱし”でも「相手に通じりゃいいんだよ」とか言われると、日本語を勉強している外人さん達は顔も目もまっ青になります。

この“通じりゃいい”というのが憎いところで、要するに日本人にとってのコトバというのは、メッセージ(心)の伝達のための“通り道”でしかないんですよね。これに対してフランス語(その他の西洋語)は、メッセージ(心)の“結果的表出”(ゴール)なんです。だからこそ外人さんは、えらそうに(あっゴール、点入った!)するのかもしれませんし、日本人は少々自信なさげに(パス出すよ?)お話するのかもしれませんね。

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№187 まことちゃん

漫画家の楳図かずおさんが新居を建てようとしたが、壁のデザインが赤と白のしましま模様で、屋上には“まことちゃん”の巨大な像がたてられるらしいという情報を入手した近所の人が、反対運動を起こしているというニュースがありました…… 私はもう、この手のニュースが死ぬほど好きで、こういう“事件”があるとおかず無しでもご飯を3杯ぐらい食べることができます。

「“まことちゃん”が上から見ていると思うと怖くて眠れません」という近所のおばさんも、「えっ、まことちゃんなんか建てませんよ、予定では“マッチョメマン”ですから」と反論する楳図さんも、どちらも真剣なのでしょうが、こういうトラブルはフランスでは起こりえないことです。フランスの都市部では、個人が“土地”を買って“家”を建てるということ自体が許されていないからです。新建造物を立てる場合もその原則は、“外観は元通り復元”すること、となっています。それにフランスの建物は、すべて隣の建物とぴったりくっついているので、ひとつの建物だけ壊して建て替えることがとても難しくできています。

でも屋根の上に“クレヨンしんちゃん”とか“ゴジラ”とかが乗っかってる街もけっこう楽しそうですね。

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№186 ゴチャゴチャ

ベルサイユ宮殿とかパリの高級ホテルとかに行くと、なんか天井が高すぎて落ち着かない私は貧乏性なのでしょうか。確かにそれもある、というかほぼそうです。しかし一寸の虫にも五分の魂というのは無関係にしても、少々反論させてもらうと私はロト(宝くじ)に当たってもケノ(ミニ宝くじ)に当たっても、ベルサイユ宮殿には住みたくないし、タイユーバンで丼物など食べたくありません。なぜなら“人間の幸せ”とは狭い家でテレビを見ながらおでん(のようなもの)を食べること、というモットーが私にはあるからです。

日本で地震とか火事で多勢の被害者が出ても暴動やパニックが起きないのは、“ま、生きているだけでもありがたいことじゃ”という、ものすごくミニマムな喜びをおにぎりの中から発見する能力があるからです。(実際には不平不満タラタラ、ブチブチの人、多いらしいんですけど……)。

それにしても私は、ベルサイユ宮殿のゴチャゴチャした感じや金キラキンが嫌いです。ホテルやレストランでもブドウの模様は許せますけど、電気スタンドにトンボとかセミとかがついていたりする“アール・ヌーボー”なんか全然いいと思いません。こういうのに日本趣味(ジャポニズム)の影響があるとか、あまり言ってほしくないなあと思います。

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№185 うまさの秘密

美食の国フランスでは、時々まずい物に出会うことがあります。客が少ないレストランやフランス人の家で“何じゃこれ”というものを出されることがあるのです。日本では、海水浴場のヤキソバでも、おばあちゃんが作っているミックスサンドでも“ベリマズ”というのはかなり珍しくなってきたと思います。でもこれは、日本人の料理